支流のない完全孤立した湖や池に住む魚は、一体どのようにしてそこに来たのか?
殆どの場合は、人為的に持ち込まれたと考えられます。魚を直接放流する、または水草に付着した卵から孵化するなど。
それとは別に、人がたどり着けないような山中にある自然にできた池、荒野の果てにある湖などにいる魚はどうやってその場所に来たのか?という疑問について、ちょっとおもしろい説があります。
それは、ある方法で鳥が運んだというもの。
鳥が運んだと言われるとイメージするのは、トンビや鷹が捕まえた魚を運搬中にうっかり落としてしまい、それが運良く池に落ちるという光景ですが、実際に考えられているのは、魚が水草に産卵してそれを水鳥が水草ごと食べてしまい、糞として排出された消化されずに残った卵から孵化したというものです。
ちょっとおもしろい話ですけど、実際にそんなことは可能なのか?
実際に行われた実験では、コイやフナの卵を500個マガモに食べさせたところ、消化されずに糞から排出された卵は18個。そのうち生きていた卵は12個。そこから孵化までこぎつけたのは3個だったといいます。
0.2%という少ない確率ではあるものの、実際に糞から孵化することは可能ということが実証されたわけで、鳥を運搬役として、魚が(卵の状態で)別の孤立した池や湖に移動することは可能ということになります。
人の手が入らない山中で孤立した池や湖には、実際には魚がいることは少なく、カエル、サンショウウオ、水生昆虫などが生息していることが多いですけど、この方法でコイが侵入してしまうとも無くはないということですね。
日本国内の場合はほとんどの場所には人が訪れていますし、人工池なら持ち主が放流した魚、または釣り人が運搬して闇放流した魚がいることがほとんどなので、この水鳥運搬パターンはまずなさそう。
Source: ニューズウィーク